korekarayukumitiのブログ

長きにわたり探してきた道は、天から降りてくる梯子を
一歩一歩上っていくことだった。

2017年1月のブログ記事

  • 雪原

    ◇ 雪原に 足跡一つ 行き惑ふ 獣ではなく 人の足跡 ◇

  • 沖の海

    ◇ 冴える冬の夜だ 沖の海が襲ってくる 波頭に多くの海鳥をのせて 貧しい漁師の家を 襲ってくる ◇

  • 寒月

    ◇ 山の駅 寒月を撮り 帰宅する 携帯出せど 寒月出でず ◇

  • 点景

    ◇ 海原に 一点景の 冬鴎 ひねもす漂ひ 飛ぶ気配なし ◇

  • 冬の旅

    ◇ 冬の旅 いづこにあれど 夜は月 昼は太陽 ついて来てをり ◇

  • 柚子湯

    ◇ 浴槽に 柚子浮かべれば 猫遊ぶ 失敗すれば 猫の入浴 ◇

  • ◇ 梟や 亡き妹の 顔をもち 低声で啼く 兄兄兄と ◇

  • ムササビの子

    ◇ 巣を落ちし ムササビの子の 口を開く 狐憐み 喰はずに過ぐる ◇

  • 生け捕り

    ◇ 山郷に 生け捕りの熊 手に負へず 山に放ちて 人逃げ帰る ◇

  • 熊の子

    ◇ 熊の子に 煎餅与へ 帰りけり 夜中パリパリ 音してやまず ◇

  • 黒兎

    ◇ 黒い雪 探して駆ける 黒兎 無ければ夜を 代用として ◇

  • 野兎

    ◇ 野の兎 雪から雪へ 駆けゆきて 雪庇をはづし 音もなく消ゆ ◇

  • カイツブリ

    ◇ カイツブリ これでいくどの 水くぐり 日に千回も 嘆くことなく ◇

  • 柘榴

    ◇ 赤裸々に 皹の割れたる 石榴にて 見てくれ遠く 香れるその実 ◇

  • 冬蜂

    ◇ 冬蜂や 傲りのかげも なかりけり 引きずるものは 埃と手足 ◇

  • 大根

    ◇ 大根の 持ち重りして 道を急く もつとも安全 美形の荷物 ◇

  • 玉霰

    ◇ 玉霰 屋根に音楽 奏でけり 驚く鳥は 鳥年もなし ◇

  • 尾灯

    ◇ 冬霧や 尾灯残して 走り去る その赤き灯を 追ひかける人 ◇

  • ルオーの絵

    ◇ ルオーの絵 どれも厚塗り 冬きたる ピエロの絵さへ 軽くはなくて ◇

  • ストーブ

    ◇ ストーブに 心温まる まであたる 毛焦がす猫 にはなるまじと ◇

  • 冬籠り

    ◇ すつぽりと 一つの村が 冬籠り 昼夜分かたぬ 郷となりけり ◇

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  • 色鳥

    ◇ 色鳥の 着くや冬木を 耀かす 早くも花の 季節を告げて ◇

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  • ◇ キーキーと 鵙来鳴く空 深く澄み 教会の鐘 余韻を残す ◇

  • けらつつき

    ◇ けらつつき 怒り顔して 木に当る 狙ひは近所の 悪戯小僧 ◇

  • ◇ 野の道に こちらを向いて 立つ狐 何か用かと 訊けばベツニと ◇

  • 写真展

    ◇ 鯊釣りて 喜ぶ子あり 写真展 半年前の 夏の風景 ◇

  • 偵察

    ◇ 凧揚げて 地上の様子 訊く女 あの人は今? 酔って寝てるよ ◇

  • ◇ 元旦の 都心の池で 鯉を釣り バーベキューして のらを持て成す ◇

  • 空き電車

    ◇ 帰省子の 戻りて都会 混みだせば 空きの電車で 都市を離れる ◇

  • 元旦

    ◇ オーバーの 隠しに両手 忍ばせて 猫背で歩く さもしき男 ◇

  • 街ゆく男

    ◇ 頭中に 冬日埋めて 首伸ばす 亀のごとくに 街ゆく男 ◇

  • 冬野

    ◇ 一月の 冬野駆け行く 快電車 ものみな吹き飛ぶ 過去へ過去へと ◇

  • 鳥翔る

    ◇ 鳥翔る 不穏の雲を 突き破り まだ見ぬ先の 天を信じて ◇

  • 楽園

    ◇ 楽園を 巡り巡りて 探し得ず 鳥つひに発つ 未知の世界へ ◇