◇渡り鳥行くや幾つの街起こし ◇
長きにわたり探してきた道は、天から降りてくる梯子を
一歩一歩上っていくことだった。
◇渡り鳥行くや幾つの街起こし ◇
すぐ来ると約せし燕現れず
そよ風に飼はれ鶯なきやまず枝に留まる鶯には花や青葉が靡いて一時も心安まるときがないそよ風が右から吹いても左から吹いても鶯はその真ん中に立っていることになるこれでは鳴かないわけにいかないよ鳴き声が止むのは花びらが喉に張り付いたときだけ
◇春落葉踏みつつ歩む女学生 ◇野に遊ぶバスケットより犬を出し
☆憂ひ来てふと沈丁に面をあぐ ☆
☆何ものか来てゐる気配ぼたん雪 ✧ぼたん雪に生き物の気配がするのは、来るそうそう、解ける準備をしているからだろう。ぼったりと人にまつわりつくのだって、それだけ儚いいのちを知っての所作なのに違いない。