長きにわたり探してきた道は、天から降りてくる梯子を一歩一歩上っていくことだった。
稻雀
◇ 国境 なき空思ふまま 稻雀 ◇
群雀
◇ 群雀 夕景に消ゆ 薄明かり ◇
夕焼け
◇ 夕焼けや どこか遠くの 火事映し ◇
雷雨
◇ 雷雨のがれ エスカレーター 照る空へ ◇
線路
線路延ぶ 夏野の尽くる ところまで
赤まんま
◇ 赤まんま 食へと旅人に 渡す赤子 ◇
夕立
◇ 夕立を押して駆け行く男あり ゴールはシャワーまたはバスタブ ◇
花火
◇ 星あまた 天に撃ち込み 挑戦す ◇
風鈴
◇ 路地の猫 風鈴の音に 耳を寄す ◇
子蟹
◇ 鋏もたげ 蟹缶の上〈へ〉に 立つ子蟹 ◇