炎昼の町
炎昼の町
炎昼の町に列車を降りる
しっかりした目的のある旅ではないから
宿の予約などしていない
列車に乗るときには
この町に降りるとも考えていなかった
そもそも気晴らしのための旅であるから
綿密に計画を立てたりしていると
気晴らしにもならないというわけだった
降り立った小さな町が
身を寄せる木陰もないほど
白昼の太陽に焼けていると
雨宿りする場所を求めるように
町中を走り出した
行き先は木の陰だ
しかしそんな木はどこにもない
民家の軒先には日を遮った暗がりもできているが
まさか雨宿りでもないのに
軒下に立っていると
その家の人に怪しまれてしまう
というわけで、炎昼の太陽を避けて
焦げるほどの陽光の下を走っていった
コーヒーカフェでもあれば
天国を見つけた思いがしたことだろう
今年もそんな季節がやってきた