◇ 目潰しを くらはす雪の 横殴り 野兎の目の 赤さを思ふ ◇
長きにわたり探してきた道は、天から降りてくる梯子を
一歩一歩上っていくことだった。
◇ 目潰しを くらはす雪の 横殴り 野兎の目の 赤さを思ふ ◇
◇ 冬草の みすぼらしくは 見ゆれども その屈強を 人は嗤へず ◇
◇ 野の兎 豪雪ものとも せずに跳ぶ 生くる困苦に 垣根などなし ◇
◇ ひとところ 冬日さしたる 丘の上 つばさ傷める 鳥来をるらし ◇
◇ おのおのが 天に差し出す 木蓮に 優劣はなし 一つのいのち ◇
◇ 月光に 映し出されて 跳ぶ兎 月のほかには 頼るものなし ◇
◇ 木蓮の 枝いつぱいに 咲き満ちて 捧ぐる花の 朝のけなげさ ◇
◇ 竹馬に 乗りて隣家を 窺へば 縁側にゐる 猫に睨まる ◇