korekarayukumitiのブログ

長きにわたり探してきた道は、天から降りてくる梯子を
一歩一歩上っていくことだった。


さっきまで妖艶に花開いていた

牡丹の花が一つ消えている。

「どうしちゃったのかしら。ここのお花、

ついさっきまで、綺麗に咲いていたのに」

貴婦人が気遣って、辺りを見回している。

どこにも花は散っていないし、枝に引っかかってもいない。

貴婦人が不思議そうに宴の席に戻っていくと、

少し離れたテーブルに牡丹花がひとつ

澄まして載っていた。

〈牡丹ちゃん、あんなところに来てたんだわ。ふらふら

彷徨って〉

婦人がそう言って花を取りに席を立とうして、足がすくんだ。

向かい合った席の紳士が、じっと牡丹を見詰めていたのだ。



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