帽子
◇
ベンチの緑陰に
帽子を置いて
立ち去った男がいる
場所を確保するためだったのか
うっかり忘れてしまったのか
青春の記念とするつもりだったのか
誰にも分らない
男は二度と現れず
その帽子も今はない
◇
長きにわたり探してきた道は、天から降りてくる梯子を
一歩一歩上っていくことだった。
◇
ベンチの緑陰に
帽子を置いて
立ち去った男がいる
場所を確保するためだったのか
うっかり忘れてしまったのか
青春の記念とするつもりだったのか
誰にも分らない
男は二度と現れず
その帽子も今はない
◇